イタリアンのパスタ料理が定着するまで

イタリアンのパスタ料理が定着するまで

フランス料理にパスタ料理が存在していたのは、イタリア料理の影響も少なからず受けています。しかし、それだけではなくフランスの郷土料理にも「ヌイユ」(英語でいうところのヌードル)という独自のパスタがあり、もともとフランスでも麺類を食べる習慣があったのです。十九世紀から二十世紀はじめにかけてフランス料理界の帝王として一世を風靡した、オーギュスト・エスコフィエ(1845〜1937)という料理人は、それまでのフランス料理を体系化し、約5,000ものレシピにまとめた、"Le Guide Culinaire"(1902年刊行)という有名な料理書を書きました。

 

その料理書にはマカロニを入れたグラタンや、肉や魚料理の付け合せにスパゲッティやマカロニを添えるレシピが多数掲載されています。こうした料理はまさに、日本の「洋食」と呼ばれている原点そのものですよね。日本でのパスタの始まりもまた、フランス料理のパスタが元となっていると考えて良いでしょう。パスタはよく付け合わせとしても出てきますが、これもフランス料理の昔のスタイルの影響を受けています。

 

日本に純粋なイタリア料理が定着したのは、1950年にアントニオ・カンチエミ氏が西麻布で開業したイタリア料理店『アントニオ』が評判になったり、1960年に川添浩史・梶子夫妻が六本木に開いた『キャンティ』が話題になってからだと言われています。それでも「パスタ料理」と言えばフレンチを起源にする洋食系か、戦後の進駐軍や、アメリカンスタイルのチェーンレストラン(いわゆるファミレス)の展開と共に広まったアメリカ系のパスタ料理が主流でした。純粋なイタリアンのパスタ料理が広まったのは、1990年代のイタメシブームの頃からです。